国産材を使う意味

住宅の購入を考えられているお客様であれば聞いたことがあると思いますが、日本の木材を中心とした建材流通市場で、昨年「ウッドショック」という事態が起きました。
新型コロナ感染症の世界的蔓延を発端とした、コンテナ不足や瞬間的なアメリカの住宅バブルが主な原因で日本に輸入材が入らない状態になり、木材を中心に原材料の価格が高騰しました。
その後、ロシアによるウクライナ侵攻や円の暴落なども起き、今なお市場は混乱しており原材料価格も高騰は収まりましたが、高止まりしている状況です。
弊社も大きな影響を受けましたが、私としては日本の住宅に使う材料を「国産材」に切り替える最後の機会だと捉えています。
ウッドショック以前から、弊社では徐々に国産材の比率を高めてきました。
それは、単純に日本の林業を復活させてたいという思いがあったからです。
資源が無いと言われる日本において、木材は貴重な資源なはずです。
日本の山は斜面が急で林道が細く、山から木を切り出すコストが欧米よりも高くなります。
船で輸入するコストを考えても、欧米から木材を買った方が安いというのが、まわりを見渡せば山ばかりの日本で国産材が使われない大きな理由の一つです。
ただ今回のウッドショックや円安、原油高の影響で国産材の卸し価格も高くなりまだまだ簡単な話ではありませんが、採算に合う所まで近づいてきています。
過去にも業界が国産材へ回帰する流れはあったものの、結局安い外国産の材料の購入へ我々工務店やハウスメーカーが流れてしまったため林業は衰退しました。
木材価格が安くなればお客様へ提供する住宅価格も下がりますが、今の価格を維持して販売することが出来れば国産材も適正価格で取り引きされることになり、先は林業の復活もあると私は信じています。
不安定な為替や原油や世界各地の地政学リスクを考えたら、日本で使うものは可能な限り日本のものを使うべきです。
多少高くても国産材を使い続けて、少しでも日本の林業へ貢献したいと私は考えています。