ストック住宅について

日本には現在「ストック住宅」と言われる住宅が800万戸近くあります。
ストック住宅とは総世帯数に対して数が上回っている住宅のことです。
住宅を必要とする人よりも現存する住宅の数が多いのが日本の現状です。
高度経済成長で増加する人口に対して大量に住宅を供給しなくてはいけなかったことを背景に、日本では「新築信仰」に近い考えが定着し、欧米と比べると中古住宅の流通はとても少なく、徐々に世帯数を上回る住宅が市場に供給されてしまい、現在の状況になりました。
持続可能な社会を作ろうという世界的な潮流も起きているため、”日本に新築は不要”という議論が業界でも最近活発に起きています。
世帯数を上回るストック住宅を活用すれば新築なんて要らないという話です。
その考えについて私は異論はありません。
『使えるストック住宅』は積極的に活用すべきです。
でも実際は土台や柱が腐っていたり、断熱材が薄く壁の中が結露してカビが大量に発生していたり、リフォームしたとしても『使えないストック住宅』が多いのも事実です。
中身がボロボロなストック住宅を外壁や室内の壁紙、キッチンやお風呂を入れ替えて次の住人に引き継がせることは、本当に正解なのでしょうか?
そこで地震に怯え、カビやハウスダストで体調を崩し、挙句の果てには寒いお風呂でヒートショックに襲われる可能性だってあります。
それは豊かな暮らしとはかけ離れていて、決して幸せではないと思います。
エネルギーリスクを抱えている日本で住む住宅は、絶対に高気密高断熱高耐久でなければダメです。
でも、大量に住宅を供給してきた時代のストック住宅は、その性能を付加することに耐えることが出来ません。
状態が良く、耐えられるストック住宅もありますがその数はまだまだ少ないのが現状です。
だから、今はまだ高性能な住宅の新築が必要だと私は考えています。
資源を無駄遣いしているという指摘はあると思いますが、我々が今高性能な住宅を供給することで30年後や50年後に、その住宅を未来の子供たちが引き継いで住んでくれる、本当に持続可能な時代が来るんです。
さいが設計工務はその未来の土台を作るために、高気密高断熱高耐久の新築住宅を作り続けていきます。